2006年11月 1日 (水)

香港よもやまばなし その6・養生訓・下(通算24回)

さて、前置きが長くなりましたが、本題に入りたいと思います。
読書に関し、たまには古典を読んでみるのもいいものです。

古典は長い年月人々の取捨選択に耐えてきたことから、読む価値のあるものが多いはずです。最近読んで面白かったものを一冊ご紹介します。

「貝原益軒 養生訓」 松田道雄訳 中公文庫

貝原益軒は、江戸時代元禄の頃の人物。儒学者です。
同文庫本のカバーによりますと、貝原益軒の「養生訓」は、「八十過ぎまで長年実践してきた健康法を万人のために丹念に書きとめた、益軒の身体的自叙伝ともいうべきものである」と紹介されています。
しかし、実際に読んでみると同書は単なる健康法の紹介にとどまらず、「いかに生きるべきか」といった益軒の哲学的主張といった趣を呈しています。ここらあたりの面白さが、長年にわたり多くの人に読み継がれてきたゆえんでしょうか。
また、古典というと非常に読みづらいというイメージがありますが、同書については、訳が良いのでしょう。非常に平明な日本語でつづられており読みやすいです。
それでは、益軒先生の「養生訓」より1節ご紹介申し上げます。

「養生の術は、まず自分のからだをそこなう物を遠ざけることである。からだをそこなう物は内欲と外邪とである。内欲というのは、飲食の欲、好色の欲、眠りの欲、しゃべりまくりたい欲と、喜・怒・憂・思・悲・恐・驚の七情の欲のこと。
外邪とは天の四気である。風・寒・暑・湿の事である。
内欲をこらえて少なくし、外邪をおそれて防ぐのである。
こうすれば元気をそこなわず病気にならずに天寿を保つだろう。

およそ養生の道は、内欲をがまんするのを根本とする。
この根本をしっかりやれば、元気が強くなって外邪もおかしてこない。元気が弱いと外邪に負けやすくなり、大病となって天寿を保てない。
内欲をがまんするのに大事なのは、飲食を適量にして飲み過ぎ食い過ぎをしないことだ。脾胃をきずつけ、病気をおこすものは食べない。色欲を慎んで精力を惜しみ、寝るべきでない時に寝ない。長時間眠ることを戒め、楽だからといって長く座っていないで時々からだを動かし、気の循環をよくしなければいけない。
ことに食後には、かならず数百歩歩くことである。もし長い間楽な姿勢で座っていたり、また食後にじっとしていたり、午睡をしたり、食べたものがまだ消化していないのに早く床にはいって眠ってしまったりすると、体の中に停滞がおこって病気になり、いつまでもくりかえしていると、元気ができてこないで弱くなる。
ふだんから元気をへらすことを惜しんで、言葉を少なくし、七情をほどほどにするが良い。七情のなかでも、とりわけ怒り・悲しみ・憂い・思いを少なくすることである。欲を抑え、心を平らかにし、気を和(やわ)らかにして荒くせず、静かにしてさわがせず、こころはつねに和楽でなければならぬ。憂いを苦しんではならぬ。
これみな内欲をがまんして元気を養う道である。
また風・寒・暑・湿の外邪を防いでまけないようにする。
これら内外のいろいろの用心は養生の大事な項目である。これをよく用心して守らなければならぬ。」

どうですか。面白くないですか?
私はこの本より影響を受け、食後の散歩を始めました。
皆様のご健康をお祈りいたします。

ビジネス中国語その5に続きます

Book 養生訓

著者:松田 道雄,貝原 益軒
販売元:中央公論新社
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